松たか子初主演映画。
憧れの先輩が通う大学に行きたいため、北海道の親元から離れてひとり暮らしを始めることになった卯月(うづき)。
慣れない東京の暮らしに戸惑いながら、友人やアパートの隣人たちと新たな生活がスタートする。
そんな中、憧れの先輩がバイトをしている本屋に頻繁に通うようになり。。。
美しい春の武蔵野を舞台に、期待と不安でゆれる女の子の日常を切り取った作品。
今や名優に名を連ねる松たか子。
その松さんの初々しい頃の映画がこの「四月物語」。
東京の大学に進学するために、北海道から出てきた田舎娘の奮闘ぶりを描く微笑ましい物語。
ほんとにもの静かなで、美しい映画だと思いました。
言葉では伝えきれない、心に小さな灯火が灯るようなあたたかな気持ちになります。
なんてことない日常をシンプルに描ききってはいるものの、背景の美しさや少ないセリフの余白にこめられた心理描写は見事。
ストーリーはいたってシンプルで、なんてことない日記を映像にしたようなものですが、それがかえって見る側にとっては自分のことに置き換えて、ノスタルジックな思いへと掻き立てられていくのです。
そして映像がとても美しい。
さすが岩井俊二監督。
独特な映像を作り出す岩井カラーがとても好き。
春という季節を、とても魅力的に描写している映画だと思います。
1999年の映画ですが、春になると毎年思い出してしまうような、これほど心に残ってしまった作品は初めてです。