チェロ奏者の大悟(本木雅弘)は、オーケストラが解散となり演奏家をあきらめて、妻の美香(広末涼子)とともに故郷の山形へ帰ることに。
新聞の求人広告で面接をした会社がなんと遺体を棺に納める納棺師という仕事だった。最初は渋々働くも、だんだん納棺師という仕事に魅了されていく。
その反面、美香には仕事のことを話せず隠し続けるが。。。
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まず、アカデミー賞を受賞したことを心からお祝い申し上げたいです。
初めてこの映画を知ったとき、「納棺師をテーマにするなんて斬新なんだ!」と、すごく楽しみにしていたことを思い出します。
そして実際、映画館で観てみたら、ものすごく面白かった。
面白かった、、、という表現が正しいのかどうか。
良かった。というべきでしょうか。
納棺師という、もしかすると忌み嫌われる仕事が、過剰表現のない自然なストーリーの中で、素晴らしく表現されていたと思います。
納棺師が遺体を扱う、その所作の美しさと手品師のような鮮やかな技術は見事としかいいようがありません。
本木雅弘の静かな中に芯のある姿、そして、夫のやりたいことを尊重して支えていこうとする健気な女性を演じた広末涼子、そのふたりを囲む山崎努や余貴美子などのベテラン俳優陣。
それに加えて死体役の女性までもが美しい。
すべてのキャストが洗練された演技を見せてくれています。
そして日本人であれば、多くの人が自分の親族が亡くなった時のことを思い出したのではないでしょうか。
もしくはこれから経験するであろうということを考えたりと。。。
その日本の風習である納棺師をテーマとした映画が、海外で評価を得たということがとても大きなことだと思います。
単に映画自体が評価されたのではなく、日本人自体や日本文化を評価してもらったような、世界に胸を張りたいそんな錯覚を覚えてしまいます。
だからこそ、アカデミー受賞後の日本人からの注目も、これだけ大きなものになったのではないでしょうか。
縁起は悪いが、演技がとても良かった。
ひとつひとつの所作や言葉に重みを感じる映画です。